越境物のある不動産の取引は意外と多い?越境に関する基礎知識

土地にはそれぞれ境界があり、境界で区切られた範囲内において所有者の権利を主張することができます。

しかし、実際には隣地のブロックや木が越境してしまっていることも珍しいことではありません。

こうした越境物は法律上どのように取扱われ、どのように解決するとよいのでしょうか。

本記事では不動産業界への転職を考えている方に向けて、越境に関する基礎知識や法律における取扱い、具体的な解消法等お伝えしていきます。

越境物はトラブルの元

越境とは屋根や木の枝などが敷地を超えて他人の敷地内に侵入していることを指します。

隣地との境界線で囲まれた部分が自分の所有する土地の範囲であり、隣地に越境しているなんてことはあまりないと考えられるかもしれません。

しかし、不動産の仕事をしていると実際には越境物のある物件は意外と多いことに気付きます。

古い物件だと、そもそも境界ブロックの中心線を境界線としているケースなどもあり、この場合その境界ブロックはどちらの所有なのかといった問題にもなります。

越境問題は基本的に隣人との関係になるため、当事者同士が納得していれば問題がないのですが、売買や相続で所有者が変わると後々トラブルに発展してしまうことが少なくありません。

越境物の種類

越境物の代表的なものとしては、屋根の庇木の枝があります。

また、それ以外にもブロック塀建物本体、さらには地中に埋まった水道下水管ガス管などが越境していることもあります。

土地の所有権はこうした空中にあるものや、地中にあるものまで及ぶため、上記いずれの場合でも越境物がある場合には何らかの対策を講じる必要があります。

越境の法的責任は?

ところで、越境していた場合にはどのような法的責任を負う必要があるのでしょうか。

実は、越境に関する売法律については民法の233条に「境界を超えて伸びて来た木の枝は、隣家に切るように請求できる」、「木の根が境界を超えるときはその根を切り取ることができる」と記載があるだけです。

世の中意外と多い越境問題ですが、法律に記載があるのはこの文章だけというのが現実です。

越境問題はどんなときに問題になる?

そもそも、屋根や木の枝が越境していたからといって、当事者同士が納得していれば特に問題になることはありません。

問題が表面化することが多いのが、越境物のある物件を売買するときです。

これまで顔見知りだった隣人同士が越境物について納得したうえで生活している分には問題ありませんが、新しい買主からすると、将来何らかのトラブルに発展する可能性もある越境物について何とかしてほしいと思うのは当然のことでしょう。

売買仲介の担当者としては、売主側の仲介につく場合でも、買主側の仲介につく場合でも、こうした越境問題の解決にあたらなければならないことがあります。

越境問題をどう解決する?

越境問題はどのように解決できるのでしょうか。

木の枝が越境している程度の問題であれば切り取って貰えば済みますが、屋根やブロック塀、建物の本体が越境しているようなケースではそう簡単に越境問題を解決することはできません。

もちろん、屋根やブロック塀が越境している部分を解体して越境物を無くすことができればそれが一番ですが、その費用をすぐに捻出できないこともあるでしょう。

この場合、越境問題を解消するまでは不動産の取引を延期しなければならないのでしょうか。

実は、こうしたケースでは将来いずれかのタイミングで越境問題を解消するといった覚書を取り交わすことが少なくありません。

例えば、「将来、建物を建て替えるタイミングで越境している部分を解体する」といった覚書を、当事者同士が合意した上で署名押印を行うのです。

越境問題が完全に解消した物件よりは条件が悪くなってしまいますが、こうした覚書を交わしておけば新しい買主も納得しやすくなるでしょう。

売買仲介の担当者がトラブルの解決役を担うことも多い

越境問題は当事者が自力で解決するか、当事者が司法書士や土地家屋調査士等専門家に依頼して解決することもあります。

一方で、越境問題が不動産を売買するときに表面化することが多いということもあり、売買仲介の担当者が越境問題のトラブルの解決役を担うことも少なくありません。

競争の激しい売買仲介において、こうした問題に詳しい担当者は重宝されやすいといえます。

売主としても、売却を依頼する不動産会社の候補がたくさんある中で、問題を解決してくれる担当者がいれば、その人に売却も依頼したいと思うのが普通でしょう。

いわゆる営業力とは異なる部分ではありますが、こうした知識や経験をつけていくことで売れる営業になることを目指すのもよいでしょう。

越境問題を成果に結びつけよう

越境問題は不動産を売却するときに表面化しやすい問題ということもあり、売主が最初に相談することになる売買仲介の担当者に頼る部分は多いです。

売買仲介として働くことを考えている方は、本記事の内容を参考に、越境問題の法律的問題や具体的な解決策など知識として知っておき、成果につなげられるようにしておくことをおすすめします。

投稿者: 逆瀬川 勇造

明治学院大学卒。地方銀行勤務後、転職した住宅会社では営業部長としてお客様の住宅新築や土地仕入れ、広告運用など幅広く従事しました。2018年よりP.D.Pを設立。WEBを通して不動産に関する問題解決を目指します。 保有資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)、住宅ローンアドバイザー、相続管理士