地上げとは?地上げについてその仕組みを解説します

「地上げ屋」と聞くと何となくダーティなイメ―ジを持つかもしれませんが、本来の意味の「地上げ」は一般的な不動産会社がごく普通に行うものです。

本記事では、「地上げ」について具体的な内容と地上げ事業に取り組む不動産会社がどんな会社なのかご紹介していきたいと思います。

地上げとは

まず、本来の意味の地上げについて確認していきましょう。

地上げとは、事業用地等を確保するために不動産会社が用地を購入することです。

事業会社の本社やメーカーの工場、分譲マンションなどの用地には広い土地が必要になります。

多くの場合、複数の土地にまたがっているため、それらの土地を一度全て買取、1つの土地にする必要があります。

一つ一つの土地の地権者が簡単に土地を売却してくれればよいですが、そうならないことも多く、価格交渉や立ち退き交渉などが必要となります。

また、相続登記がなされていない場合等含め、権利関係が複雑な場合にはその調整もしなければなりません。

こうした交渉や調整などを専門的な能力を有する不動産会社が請け負うことを地上げと呼びます。

地上げの形式

地上げの形式は以下の2つに分けることができます。

  • 自らの事業のための地上げ
  • 他の事業会社等から依頼を受けて行う地上げ

不動産会社が自ら分譲マンションや賃貸マンションの用地、本社用地として地上げする場合や、他の事業会社のために依頼を受けて地上げを行う場合があります。

前者の場合、地上げ後の事業の利益を目的に行いますが、後者の場合は地上げを行うことによる手数料や転売差益を目的に行うことになります。

地上げの契約形態

また、他の事業会社のために行う地上げの場合、契約形態として以下のようなものがあります。

  • 用地を買収した後一括して転売する
  • 依頼者の買収を媒介する

前者の場合、用地を全て買収するまで利益化することができず、資金繰りの問題も出てきますが、地上げの手数料だけでなく、安く買って相場で売却することでその差益を利益とすることができます。

一方、後者の場合は1件1件の用地買収のたびに手数料を受け取れますが(契約内容によります)、転売差益を手にすることはできません。

不動産会社にとって手間とリスクがあるものの利益を大きくしやすいのが前者、その逆が後者だといえるでしょう。

公的な地上げもある

行政が公的な街づくりのために行う土地区画整理事業や市街地開発事業等は、公的な地上げだということができるでしょう。

しかし、こうした公的な地上げは買収価格が用地補償基準に従って決められており、最終的には強制的な土地収用に至るなど民間の行う地上げとは本質的には異なります。

バブル時代の「地上げ屋」

バブル時代には地価が右肩上がりに上昇していたため、数多くの地上げが行われました。

そうした中、「〇カ月以内に土地をまとめたら〇〇円報酬として貰う」といった地上げ屋が登場します。

こうした地上げ屋は、期限内に話をまとめないと報酬が貰えない、もしくは報酬が減らされてしまうため、強引な手を使ってでも立ち退いてもらうように動いたのです。

このため「地上げ屋」という言葉が悪いイメージを持つようになりましたが、本来の地上げの意味は単に「事業用地等を確保するために不動産会社が用地を買収すること」なのです。

地上げ事業に取り組む不動産会社の例

地上げとは事業等のために用地を買収することで、これを利用した事業にはさまざまなものがあります。

ここではその内の一つを例としてご紹介したいと思います。

利益の出なくなった賃貸マンションの地上げ

地上げのターゲットになる物件としてよく見られるものに、築年数が経過してボロボロになった、立地のよい賃貸マンションが挙げられます。

賃貸マンションで複数戸入居者が入居している場合、その入居者全てに退去して貰わなければ建物を解体することができません。

しかし、大家さんの側から一方的に退去を命じることはできません。

こうした場合、家賃の6カ月程度を相場とした「立退料」を支払って退去してもらうことになります。

とはいえ、立退料を支払うことを約束しても全ての入居者が退去してもらえるわけではなく、中には居座って立退料をつりあげたり、裁判まで持ち込まれたりすることがあります。

地上げ業者はこうした大家さんから賃貸マンションを安くで買い上げ、入居者と立ち退き交渉し、場合によっては周辺の土地を買い増して、更地として商品に仕立て上げるといったことを行います。

地上げは今後もなくなることのない仕事なので、こうした会社に転職して専門的なスキルを得るのもよい選択ではないでしょうか。

地上げは専門的な知識と経験を要する仕事

地上げというと悪いイメージを持ちがちですが、実際には不動産の権利関係の知識や、入居者との立ち退き交渉をスムーズに行うための交渉力など、不動産業界の仕事の中でも高いレベルで専門知識や経験が求められる仕事です。

不動産業界への転職を考えている方であれば、そうした事業を行う会社への転職を考えてみるのもよいでしょう。

投稿者: 逆瀬川 勇造

明治学院大学卒。地方銀行勤務後、転職した住宅会社では営業部長としてお客様の住宅新築や土地仕入れ、広告運用など幅広く従事しました。2018年よりP.D.Pを設立。WEBを通して不動産に関する問題解決を目指します。 保有資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)、住宅ローンアドバイザー、相続管理士